カッピング(吸い玉)
カッピングは、鍼灸と同様に古くから様々な国で行われている施術です。
当院では鍼施術やマッサージの頼れる相棒としてカッピングを用いています。
その独特な心地良さと身体が変わる感覚を感じていただけるよう、伝統的な方法から新しく考えられた方法まで組み合わせながらカッピングを行っています。
カッピングという呼び名
カッピングには、他にもいくつかの呼び名があります。
古くから現代まで続く手法のため、様々な呼び名があります。
・吸い玉、吸玉(すいだま)
・吸角(きゅうかく)
・抜罐(ばっかん)
・火罐(かかん)
・吸い瓢(すいふくべ)
・プハン
・角法(かくほう)
・cupping(カッピング)
当院でお話ししている時は「カッピング」と言うことが多いですが、私は特に呼び名にこだわっているわけではありません。
鍼灸師ならカッピングより吸角や吸玉と呼ぶことが多いと思いますし、私自身も鍼灸師同士での会話ではそう呼びます。
ただ、一般的には見慣れない言葉なので、吸玉や吸角と書かれているのをさらっと「すいだま」「きゅうかく」と読めるかたは少ないと思います。
当院で「カッピング」と呼んでいるのは、単純に「誰でも読みやすい」という理由からです。
カッピングで使うもの
カッピングでは専用のカップを使用しますが、現在のカップはガラス製かプラスチック製が主流となっています。
その他にシリコン製や磁器製のカップもありますが、鍼灸院で使っているところは少ないという印象です。
今ではインターネットで簡単に購入できるためセルフケア用にカップをお持ちになっている方もいらっしゃいます。
ちなみに、カッピングが盛んな中国などでは、自宅でセルフケアとして自分でカッピングを行ったり、近所の慣れた人にやってもらうことも多いようです。
中国では、カッピングは特に変わった手法ではなくごく普通に行われています。
街角などでもカッピングを行っている光景が見られます。
それは、カッピングが医療としても文化としても馴染みがあり効果を実感している人が多いことの現れだと思います。
ただし、安全に効果を出すために守るべきルールもあります。
それについてのご説明は後ほど。
日本ではほとんど聞くことがありませんが、カッピングが盛んな中国ではご家庭でカッピングをする場合に専用カップ以外のものもけっこう使われているようです。
「用が足りれば良い」ということで、湯のみやコップ、空き瓶なども使われています。
どこでも手に入り、それなりに耐久性もあるからかもしれません。
*カッピングをする場合、安全性の観点から湯のみや空き瓶でなく専用のものをご使用ください。
カッピングの効果
◉血液循環への作用
◉自律神経への作用
◉筋肉や皮膚への作用
などが一般的に言われているところですが、いまだ研究途上にあり効果やそのメカニズムが解明されたとは言えません。
当院では血液循環への作用を最も重視しています。
カッピングを行うとき
カッピングは古くから行われている素朴な方法で、良くも悪くも「大雑把」な施術方法です。
だからこそ良い面もあるのですけどね。
効用の範囲は広いですが、その分かゆいところには手が届きにくいのがカッピングです。
当院でカッピングを行う際は、まず全体を整えるためのカッピングや鍼灸を行ってから、細かい部分の施術に入っていきます。
実際のカッピングってどんな感じ?
マッサージともストレッチとも違う、独特の感覚です。
「いつも凝っていて、ねっとりした感じ」
「しつこくて、わずらわしい感じがするコリ」
「首や背中がいつもうっとうしい感じ」
そんな頑固でしつこい凝りがあるかたが特に気持ち良く感じる傾向があります。
カッピングは「引く・押す・伸ばす」チカラを利用した手法です。
「押すチカラ」を利用した手法はたくさんあります。
指圧やマッサージはもちろん、医療用プールで行う水治療も水圧を利用しますし、酸素カプセルも基本的に加圧されています。
カッピングでは、カップを吸着させることでカップ辺縁で皮膚や筋肉などに圧迫をかけます。
そのためカップの縁の形状は効果を考える上で重要な要素になります。
「伸ばすチカラ」を利用した施術方法もたくさんあります。
ストレッチがその代表的なものです。
整形外科で行われている頚椎牽引や骨盤牽引も、組織を伸ばす縮めるを繰り返すことで緊張部位のストレッチや軟部組織の循環改善効果を狙う方法です。
カッピングの場合は、吸着したままでも皮膚や筋肉などの局所的なストレッチになりますが、スライドカッピングやその他のカップ操作により幅広いストレッチ効果を狙うこともあります。
「引くチカラ」を利用した施術方法の代表がカッピングです。
押してもだめなら引いてみな。
そんなちょっと変わったカッピングの効果を感じていただければ幸いです。
*電気刺激療法の一部にカッピングの仕組みを利用したものがあります。使い方によっては非常に有効な手段になります。
例)吸着式の干渉波電気刺激療法やSSP電気刺激療法
*当院のカッピングでは留罐法を中心に、適宜、走罐法を用いています。
留罐法…りゅうかんほう。カップを皮膚に吸着させて一定時間そのままにしておく方法です。
走罐法…そうかんほう。カップを皮膚に吸着させたままマッサージをするようにカップを動かしていく方法です。スライドカッピングとも呼ばれています。
カッピングの吸着時間
当院で行っているカッピングは、カップを皮膚に吸着させてから「5秒〜3分」ほどで一旦外します。
それを数回繰り返します。
トータルで5~15分という時間になりますが、状態をみながら調整しているため個人差があります。
なぜ短時間なのか
当院のカッピングの吸着時間が比較的短いのには理由があります。
◉他の施術との組み合わせの中で最適な刺激量にするため。
◉皮膚トラブルを防止し、できるだけ吸いあとがつかないようにするため。
最適な刺激量
カッピングに限らず、鍼灸やマッサージなどでも最適な刺激量というものがあります。
カッピングでもマッサージでも、それが弱くても強くても体にとっては全てが刺激です。
施術によってどのくらいの刺激が加わるのが最適なのかを判断することが大切です。
それはお一人お一人で異なります。
そのため当院の施術時間は一定ではありません。
カップの数が多ければ効くというものでもありません。
単に、短ければ、長ければ、多ければ、、、ということではありません。
他の施術との組み合わせによっても変わってきます。
重要なのは、施術時間の長短そのものではなくその効果であり、そのために最適な圧や時間などを決定していくことです。
皮膚トラブル防止
長時間カップを吸着させた場合のもう一つの問題は「皮膚」に関わることです。
柔らかく繊細な皮膚にはそれに適したカッピングのやり方があります。
想像しているよりはるかに弱い刺激で身体は変化します。
溢血斑について
溢血斑…いっけつはん
溢血斑とは、カッピングを行ったときにできる丸い吸いあとです。
スポーツ選手の背中や肩に、丸い赤黒いような跡がついているのをテレビやSNSなどで見たことがあるかもしれません。
当院では原則として吸いあとがなるべくつかないようにカッピングを行っています。
緊張、凝り、呼吸、循環など様々な要素によって邪魔されている体のめぐり。
その体のめぐりである循環を変化させ、体が治すルートに乗ることが当院のカッピングの目的です。
あたたかくしなやかな心と体
あたたか
しなやか
これは心身にとっての基本です。
カッピングでも鍼灸でもマッサージでも、そんな体を目指して施術を行っています。
ご予約・お問い合わせ
電話:044-742-2345