お灸(おきゅう)

古くから日本で親しまれてきたお灸。

 

お灸が主役の灸治。

鍼治療の最高の相棒としてのお灸。

日々のセルフケアとしてのお灸

 

お灸の生きている場は様々です。

 

お灸独特の身体にしみる心地良さと身体と心を元気にするお灸の効果を感じていただきたいと思います。

 

 BC5CD13E-A30B-4415-9A92-6AF026B482E3.jpeg

 

 

お灸ってなに?

 

お灸は、蓬(よもぎ)の葉を原料として作られる艾(もぐさ)を使った、日本に古くからある施術です。

 

おきゅう、きゅう、やいと。

 

呼び名は地域によっても変わります。

 

モグサと火を用いてツボに温熱刺激を与え、病気の治療や予防、日頃の養生をするために用いられています。

 

 

蓬と艾

蓬…よもぎ

艾…もぐさ

よもぎ餅を作る時のよもぎと同じです。

ヨモギは食用にも薬用にもなるとても便利なもの、でも、どこでも見られるようなごく一般的な「草」です。

しかし、よもぎ餅を作る和菓子職人さんに情熱があるように、モグサを作る職人さんにも情熱があります。

よもぎを摘み、乾燥させ、精製して作るモグサ。

相当な手間がかかります。

そんな貴重なモグサを有り難く使わせていただいています。

 

 

 

お灸って熱いの?

 

お灸には様々な手法があります。

じわ~という程度の温感のお灸もあれば、しっかりとお灸の熱を身体にとおす熱感のあるものまでお灸のやり方は様々です。

 

お灸の種類、お灸に使うモグサの精製度、モグサのひねり方、指先で行う酸素量の調節などにより、お灸で感じる熱感を微調整しています。

 

お灸のすえ方や目的などによりモグサを使い分けますが、このモグサの精製度によって温度が変わります。

モグサのひねり方によっても温度が変わります。

 

そして、最終的には指で熱が体に伝わるスピードや量を調整することで温度や熱感が変わります。

 

この熱量の調整は、お一人お一人の感受性や施術の目的などにより決めていきます。

 

当院で行っているお灸の割合を大まかに分けると、じわーっと温かい程度の温感のお灸が8割、熱感が強いタイプのお灸が2割です。

 

 

 

お灸と日本人

 

日本では、古来より日々の暮らしの中でお灸が行われてきました。

 

調合してもらった高価な薬を飲んだりするのと違って、ツボ療法としてのお灸であればご家庭でも取り組みやすかったのだと思います。

服薬などに比べとっても低コストなモグサを使うこともお灸が日本に広まった理由の一つかもしれません。

松尾芭蕉をはじめ、モグサがかつての日本人の旅のお供だったのもうなずけます。

 

 

現代では、「お灸」と聞いてどんなものかすぐお分かりになる方は少ないかもしれません。

 

私は上京するまで田舎暮らしだったこともあり、私が子どもの頃は自宅でお灸をすえる方がけっこういらっしゃいました。

私の実家では、お灸を「やいと」と呼びます。

私にとっても身近なものでした。

今でも、健康のために決まった日に疳の虫、喘息、慢性的な消化不良などへの施術や予防を目的としてお灸をする文化が根づいている地域が日本にはあります。

 

子どものお灸は2か所のツボ(身柱や命門など)のお灸でどうにかなる、なんて言われることもあります。

 

そんなお灸は日常のものでした。

 

 

鍼灸に限らず、古くから続いていることには先人達が積み上げてきたものがたくさんあります。

 

時代が変わっても、変わらないものがあります。

 

それを大切に心に留め、歩みは止めず、お灸をすえていきたいと思います。

 

 

 

お灸と日本の風土

 

日々の暮らしの中で用いられていたお灸は、今でも薬局で簡易型のお灸(せんねん灸など)が販売され幅広い世代に利用されています。

 

あ、簡易型と言ってもバカにできないんですよ。

うまく使えば相当な効果を出せます。

 

お灸が暮らしの中に根づいたのは、現代のような薬品や手術などの医療技術が開発されていなかったということもありますが、それ以上に日本の気候風土や日本人の体質にお灸が合っているということも関係しています。

 

だからこそ、現代まで続いているのだと思います。

 

医療でもあり、文化でもある。

 

それがお灸です。

 

日本には春夏秋冬という四季の移り変わりがあります。

 

冬から春にかけては寒暖差が大きく身体も大きく揺らぎます。

梅雨から夏にかけては極端に湿度が高く蒸し暑いのに雨が降るとぐっと冷えます。

夏から秋にかけては台風など天候気圧の変化が大きく、寒暖差もあり体調にも影響します。

秋から冬にかけて極端に湿度が低くなり、雪が降るほど冷える地域もあります。

 

いくら建築物やエアコンが発展しようとも、人と自然は切り離せないものです。

 

こんな日本の風土の中で出てくる体調不良を整えるには、火のチカラを活かしたお灸がぴったりです。

 

また、四季や天候に関係なく冷えから体調を崩すかたや、水分代謝がスムーズでない方にもお灸がよく合います。

 

人間の身体の重心はお腹にあり、お腹は鍼灸治療をする際のベースにもなっています。

自律神経に作用しお腹の働きを整えたり血液循環を大きく変えるお灸は現代でも非常に有効です。

 

 

ちなみに、私自身の体調管理には鍼灸や体操を行っていますが、梅雨時期や冬場、食べすぎた時などはお灸が大活躍しています。

 

 

今、なぜお灸なの?

 

お灸と言うと、古くさく感じる方がいらっしゃるかもしれません。

 

実際にお灸の歴史は古いですから、そう感じて当然です。

しかも、使うものは古代から相変わらずモグサ。

 

鍼灸師の私が言うのもなんですが、古くさい方法です。

 

そんなことが影響したのかどうかわかりませんが、残念ながら鍼灸院でも「お灸はしない」ところが増えています。

ビルテナントなどでは「火気厳禁」「煙厳禁」のところが増えているので、仕方ない面もあるのかもしれません。

 

しかし、お灸には鍼やマッサージには無い、独特の効果と心地良さがあります。

 

もちろん鍼には鍼の、マッサージにはマッサージの気持ち良さがありますけどね。

 

 

人間は、火というものを生活の中に根付かせてきました。

 

その火のチカラを活かしたものがお灸。

 

たかがお灸、されどお灸です。

 

そんなお灸の底力を感じていただければ幸いです。

 

お灸の効果を科学的に検証した論文も多々ありますし、現代に生きる鍼灸師として非常に参考になります。

 

でも、どんなに研究が進んでも、お灸そのものが原始的で素朴な施術であることに変わりはありません。

 

 

体を呼び起こす。

 

 

お灸はそんな感覚です。

 

科学・医学が発達したご時世ですが、鍼灸など古来からある手法は、施術する側も施術を受ける側も「感覚」という要素がとても重要だと私は感じます。

 

なかなか研究が進みにくい分野ですが、様々な方面からお灸が研究されると良いと思っています。

 

 

 

お灸でセルフケア

 

鍼灸院で行うお灸は狙って施術の効果を出すために、実際に体を変えるために行うお灸。

 

症状や体質によってやり方も変わります。

 

そのため、お灸を自分でやるのは難しそうだと感じられるかもしれません。

 

でも本当は、お灸は決して難しいものではありません。

理屈を知らなくても、誰でも、日常のセルフケアとしてお灸を取り入れることが出来ます。

 

私は、セルフケアは好きな方法でやるのをおすすめしています。

 

自分で自分のケアをするのに善し悪しはありません。

運動でもヨガでも何でもよくて、何もお灸じゃなくてもかまいません。

第一、好きなことじゃないと続きません。

 

大切なのは「自分でやること」です。

 

セルフケアというよりセルフマネジメント。

 

ただ、もしも「お灸が好き」「お灸を試してみたい」と思われているなら遠慮なくご相談ください。

体質や症状をみながら、どこに・どのくらいお灸をすれば良いのかアドバイスさせていただきます。

 

 

 

お灸と艾

 

お灸に使うのはモグサ。

これが無ければ始まりません。

 

モグサは、よもぎ(よもぎ餅に使う河原の土手などに生えているアレです)の葉を精製したものです。

それを1年〜数年間、土蔵などで寝かせたものがお灸のモグサとして使われます。

 

ちなみに、各艾メーカーのモグサの精製過程は企業秘密であることが多いです。

それぞれのメーカーに職人さんがおり、その技に支えられているモグサを使うことができるのはとても有難いことです。

ヨモギ生産者やモグサ製造の職人さんの高齢化が言われる近年ですが、良いモグサを末永く使いたいと思う今日この頃です。

 

 

お灸の種類

 

お灸にはいくつも手法がありますが、当院で行っているお灸をご紹介します。

 

台座灸(だいざきゅう)

薬局で市販されている「せんねん灸」タイプです。

ほとんどの商品が温度の強弱温感の持続時間に差をつくり商品化されています。

そのためそれぞれに感じる温感が異なります。

シールで貼り付けて使うため誰でも簡単に使えますし、セルフ灸で使うなら最初は低めの温度のものから試すこともできます。

正しく使えばヤケドの心配がないというのは台座灸の大きなメリットです。

 

簡易的ですが、うまく使えばしっかりお灸の効果を実感できますのでセルフケアグッズとしても有用です。

 

 

透熱灸(とうねつきゅう)

モグサから直径0.5~1mmほどのモグサをひねり出しお灸をすえます。

モグサの精製度合いも関係しますが、主にモグサのひねり方と指先の使い方によって温度を調整します。

 

皮膚の上に直接行うお灸ですが、指先で熱量を調整するため思ったほど熱くは感じなかったと言われることが多いです。

人それぞれの感じ方なので表現しにくいですが、ピリッとかキュッとする感じで人によってはほんのり温かい程度しか感じない場合もあります。

 

1mmという小さなお灸ですが、ツボの効果やお灸という火のチカラを活かす効果を実感していただけるお灸です。

 

*場合により、熱感調整のために専用のアルミシート、紫雲膏、水などを使います。

 

 

八分灸(はちぶきゅう)

見た目は透熱灸と同じですが、お灸に点火して8割ほど進んだところで消す、または取り払ってしまいます。

そのため、ほんの一瞬だけ熱い感覚はありますがヤケドの心配はありません。

 

透熱灸はちょっと、、、という方でもこの灸法なら安心して受けていただけます。

 

当院で出番の多い灸法です。

 

 

知熱灸(ちねつきゅう)

すえ方は八分灸に似ていますが、通常行われている知熱灸はお灸そのもののサイズが大きいことがほとんどです。

 

ツボやお体の状態で多少変わりますが、概ね小指から親指の爪くらいの大きさのお灸で透熱灸や八分灸より大きめです。

 

八分灸と同じく、温かさを感じた時点でお灸を取り払うためヤケドの心配はありません。

 

身体の熱を取る目的で用います。

 

 

糸状灸(しじょうきゅう)

文字通り糸のように細いお灸で透熱灸の一種です。

直径0.5mmほどのお灸で、ピンポイントにしっかり熱を通したい場合に用います。

 

表現が難しいですが「ツーンとした熱さ」という感覚です。

当院では頭にあるツボや指にある井穴というツボに使っています。

 

 

棒灸(ぼうきゅう)

モグサを紙の筒に詰め込んで直径1cm程度のモグサの棒を作り、その棒に火を着けたものをツボに近づけたり離したりしながら温熱刺激を加える手法です。

当院で使用しているような、モグサを炭にした無煙タイプもあります。

 

また、専用の器具を使い棒を固定し、持続的に温熱刺激を加えていく手法もあります。

 

基本的な使用方法さえ守れば誰が行っても安全なため、セルフケアに使われることもあります。

 

長時間使うとどうしても煙が多くなってしまうのが欠点でしたが、その点をカバーできる炭火タイプの棒灸が出てからとても使いやすくなりました。

 

 

灸頭鍼(きゅうとうしん)

鍼とお灸の合わせ技で、まず鍼を打ち、その鍼の頭に艾を付けたものが灸頭鍼です。

 

皮膚からモグサが離れているため、ヤケドの心配もなく遠赤外線で熱を作用させることができます。

 

フワ〜っとした独特の温もりがあります。

 

また、灸頭鍼の少し変わった手法としてあえて温感を出さない方法もあります。

 

当院では、主に自律神経症状、慢性腰痛、足腰腹の冷え、むくみ・だるさ、膝の痛みなどがある方に用いることが多いです。

 

温感を出さない灸頭鍼は、捻挫や打撲などで炎症がある場合、カチコチに凝りすぎていて熱を持っている時など、身体の熱をとりたい時に用いています。 

 

 

 

モクサアフリカの活動

 

海外のお灸事情として、ぜひ知っていただきたいものがあります。

 

2008年からモクサアフリカという団体(本部:イギリス)が行っているお灸の施術・研究・啓蒙活動です。

*モグサの英語訳はmoxa

 

アフリカでは結核が猛威をふるっています。

 

結核は、薬剤への抵抗性を持つ耐性菌への対応として、通常いくつもの抗生物質を組み合わせて治療を行います。

その結果、更なる耐性菌が生まれ、治療はどんどん長引いてしまうという悪循環も起こっています。

これはアフリカに限らず、世界共通の問題です。

 

また、結核では、関節痛などの症状も現れ、日常生活が著しく障害されます。

 

そこで数名の鍼灸師が起こしたのがモクサアフリカのお灸活動です。

実際にお灸を結核治療の補助治療として役立てること、またその研究を行っています。

その成果も出ており、排菌時間の短縮関節痛の軽減が出来ることが立証されています。

この活動は、アフリカだけでなくケニアなどにも広がりをみせています。

 

 

 

ご予約・お問い合わせ

電話:044-742-2345

ご予約・お問い合わせフォームへ