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鄭州国際刺絡抜罐学会終了
帰ってきましたー!
ドタバタもありましたが、まぁ海外では想定内のこと。
朝から晩まで鍼やカッピングのことで埋め尽くされた鄭州学会でしたが、多くのことを学びました。
日本で鍼灸やカッピングというと一般的とは言えませんが、中国では特別に変わったものではありません。
病院で中医師により様々な疾患に当たり前にやられている治療法です。
そして、日本には日本の鍼灸があり、中国には中国の鍼灸がある。
もちろん共通する部分もたくさんありますし、それぞれに独自に進化してきた部分もある。
そんないろいろな部分で交流ができる今回のような機会は非常に有意義なものだと感じました。
多くの鍼灸師がこのような機会に中国に行き「学・術」両方の交流を深めていければ、鍼灸が更に発展していくことにつながるのだと確信できた時間でした。
さぁ、今日から通常営業です。
張りきっていきますよ!
鼻水がひどくて鼻がつまる。首肩凝り・鼻水・鼻詰まり(鍼灸治療・円皮鍼)
今回は鼻炎のケアに長期間かかったお話を。
【波】
鼻炎に限らず鼻の症状は波があることが多いもの。
良い時期がきたと思ったらまた戻るということを繰り返したり。
症状の波を季節や食事の関係などと照らし合わせて一つ一つ対処していくことも必要ですが、ゴールを見据えてしっかり取り組んでいくことも必要です。
【安定】
今年は台風や天候不順の影響のためか、体調の変動が大きい方がよくご来院されています。
腰痛しかり
肩こりしかり
症状の安定化を考えながらの施術となります。
今年は全身調整や症状をコントロールするために円皮鍼もよく用いています。
お一人お一人でかなり差がありますが、手足のツボに4点くらい円皮鍼を使うことが多いです。
【局所と全身】
鼻、のど、口など、、、循環を良好に向かわせること。
もちろん全身から。
それは時間がかかることかもしれません。
急性と違い、慢性症状がある身体を変えていくのはそう簡単なことではありませんからね。
あの手この手です(笑)
しっかり取り組んでいきたいと思います。
【慢性鼻炎のケース】
主訴:首肩凝り、鼻水、鼻づまり
施術:鍼灸、円皮鍼
経過:鼻水は施術3回目にはほとんど出なくなったが、鼻づまりはほとんど改善していなかった。施術4ヶ月目に鼻づまりが軽減し始め、次第に鼻が気にならなくなった。
ねっとりしたしつこい肩こり。カッピング~痰湿の缶象から~
施術に絶対はありません。
当院ではカッピングをよく用いますが、カッピングも人間の身体にとり絶対に必要なものでもありません。
無ければないで別の方法で対処するだけですからね。
ただ、便利なことも多々あります。
カッピングをした時に皮膚につく跡を「缶象(かんしょう)」とも言います。
缶象については日常的にご質問を受けることですし、臨床上参考になる現象なので改めて書いておこうと思います。
【缶象いろいろ】
中医学では、缶象のつきかたも身体の状態と照らし合わせて考えていきます。
・色が濃くつく
・色が薄くつく
・ほとんど色がつかない
・全体にまんべんなくつく
・縁だけ色がつく
・縁が凹む
・中央が盛り上がる
・場所により差がある
・場所による差がない
などなど、様々な缶象があります。
*マッサージ、指圧、鍼灸などを行った際に施術場所が数分~十数分程度ピンク色に反応することがありますが、カッピング後にも同様な現象がよく起こります。それは施術により血管が広がり血流が促進されたことによるフレアー現象と呼ばれるもので、厳密な缶象とは違います。カッピング後のフレアー現象も施術後数分で消えていきます。
【人それぞれ】
同じ吸引圧でカッピングを行ったとしても人により全く缶象が違います。
肩にだけ跡がつく方がいれば、腰にだけ跡がつくことも。
カッピングをして数秒で跡がつく方がいれば、数分間つけっぱなしでも全く跡がつかない方も。
3日で消えることがあれば、10日くらいかけてゆっくり消えていくことも。
その方の体質や症状、今の身体の状態によって缶象の現れ方は様々です。
元々の体質や現在の全身状態が缶象に反映されています。
局所的な要素としては、表皮の柔軟性や湿潤度、真皮の状態、筋肉の緊張度、毛細血管の状態、浮腫の有無、汗や皮脂の分泌量などが缶象と関係しています。
【症状と缶象】
施術時は、自覚症状・他覚症状・缶象の3つが一致しているかどうかをみていきます。
先日ご来院された方は、ご自分の肩こりの感じを
「硬いお餅がたくさん肩についているみたい」
「しつこくて、嫌な感じ」
と表現されました。
手足にも浮腫があり、朝のこわばりもあり、などなど、、、といった症状でした。
こういうケースを中医学では「痰湿」が関係していると考えます。
特にカッピングが合うケースですね。
缶象としては吸い玉の縁の丸い後が強くつき、中央が盛り上がる傾向があります。
痰湿が軽ければその跡は数分程度で消えますが、強い場合は数時間跡が残っていたりします。
カッピングは古代から行われている非常に単純な施術方法ですが非常に便利なものです。
古代のこと、誰が思いついたかわかりませんが。
ありがたいことです。
投げると肩が痛い。野球での肩の痛み(鍼灸治療)
野球肩と言っても症状はいろいろ。
痛む場所もそれぞれですし、その痛む度合いも様々です。
痛みが出る動作もいろんな段階があります。
そんな野球肩(投球傷害)で、痛む場所がしょっちゅう変わるケースがあります。
割と短いスパンでフォームを変えている選手に多い印象です。
あ、もちろんフォームは常に変わっていきますけど。
良くも悪くもフォームが固まっていないため、疲労や痛みが出るとすぐにフォームに影響が出ます。
そのため負担がかかる場所も変わる。
結局は、かばいかばい投げているために痛む場所がよく変わるということが起きてきます。
選手本人が
「何かオカシイ」
「もっと良くなるのでは?」
と感じているからこそフォームを変えている。
あまり大きくフォームをいじると何が良いか分からなくなってしまいます。
いつまでたってもフォームが安定しないということにつながります。
全体のバランスを見ることも大切ですが、時には一点に集中することも必要です。
良い動きの部分に意識を集中することで、周りの動きも良くなってくることがありますからね。
さて、施術する側としてはですが
「痛みの悪循環を断つ」
これを最優先に施術していきます。
痛む場所がよく変わるケースでは、
・フォームそのものに原因がある場合
・フォームには問題がなくても痛みが出る身体状況がある場合
この2つを考えなくてはいけません。
もし後者の場合なら、どんなにフォームを変えても痛みが改善しません。
痛みの原因はフォームだけとは限りませんからね!
【痛む場所がよく変わる野球肩のケース】
主訴:肩の痛み(その時によって場所が変わる)
施術:鍼灸
経過:痛みは施術4回目には無くなったが、筋肉のアンバランスが目立つためその後もしばらくケアを継続した。
【カッピング(吸玉、吸角)の場所】どこにやるのが効果的?ツボ?筋肉?セルフカッピングの注意点は?
当院ではカッピングをよく行います。
逆子の灸や小児はりでご来院されたかたには用いませんが、その他のかたはカッピングと鍼灸を併用した施術をよく行います。
そんなカッピングについてよく聞かれること。
「どこにつけるんですか?」
カッピング施術前に大まかな施術内容やカッピングの説明をしている時にこういったご質問を受けることがあります。
「背中につけるんですか?」
「どこにつけると効くんですか?」
「ツボですか?」
「首にもやりますか?」
「跡はどのくらいで消えますか?」
他に
「他の人から見えるところはちょっと抵抗が」
「プールに行く予定があるのであまり跡がつくと目立ちそうで」
という方もいらっしゃいます。
「もう、どこでも良いからどんどんやって!」
という方が多いのですが、それでも首など目立つ場所は必ず確認します。
首や明らかに外から見える場所にカッピングを行う必要があると感じる時は、必ずカッピングをしても大丈夫か事前に確認しています。
無理にカッピングを行うことはありません。
さてさて
カッピング施術中に聞かれる「どこに?」というとき。
これは
カッピングをする場所の判断基準
という意味でのご質問で
なぜそこに?
ということですね。
「ツボにつけるんですか?」
「場所が決まっているんですか?」
「左右で違う場所にやるんですか?」
「頭痛なのに背中にやるんですか?」
「皆さん同じ場所ですか?」
「痛いところにやるんですか?」
「痛いところにはやらないんですか?」
というようなことです。
これに対する答えとしては
「臨機応変です」
ということになります。
身も蓋もないと思われるかもしれませんが、そんなものなのです。
まず、基本的にカッピングを行う場所は決まっていません。
私は特別な場合を除いてカップをたくさん着けることをしませんし、事前に場所を決めて行うことはありません。
たくさんカップを着ける鍼灸院では、背中や足など全体で30個くらいは着けていると思います。
マニュアル的にカップを着けるツボを最初から決めている院もあります。
ひとまず、一般によくカッピングを行われている場所を参考のために書き出してみます。
- 項部(頚百労というツボ付近)
- 肩甲帯付近(肩井、天宗、臑兪、中府などのツボ付近)
- 背部全体(大椎、背部兪穴などのツボ付近)
- 骨盤帯付近(八髎穴、居髎などのツボ付近)
- 下肢(殷門、委中、承山、風市、血海、陰陵線、足三里、条口、湧泉などのツボ付近)
このあたりが一般によく行われています。
場所は様々ですので、その場所に合わせて装着しやすいようにカップの大きさを調整します。
カッピングの場所を決める際には、ツボに合わせてカップをつける時もあるし、皮膚や筋肉の状況をみて場所を決めるときもあります。
筋肉が凝っている場所に着けることもありますし、逆に柔らかすぎるくらいになっている場所に着けることもあります。
基本的に場所は決まっておらず、その場その時の状態次第で変わります。
左右で同じところに行うこともありますし、片側だけ行ったり、わざと場所をズラして行うこともあります。
自覚症状は腰痛でもカッピングを肩に行うようなこともありますし、腰だけにカッピングを行うこともあります。
場所はバラバラです。
痛いところに行うこともありますし、そうでないことも多いです。
痛いところにやらないというわけでもありません。
姿勢や症状でだいたいの当たりはつけていますが、その方その時によって変わるので実際にみてからでないと確定できません。
目的によっても変わります。
臨機応変ということなのですが、文章に書いて説明しようとすると上のように長ったらしい説明になってしまいます。
私がカッピングを行うときは
◉皮膚…皮膚の緊張、凝り、温度、湿度、色、動き、肌理、癒着、過去の怪我や手術など
◉筋肉…筋肉や筋膜の緊張、凝り、萎縮、膨隆、動き、全体的な硬さ、部分的な硬さ、癒着、過去の怪我や手術など
◉特定のツボの作用
この皮膚・筋肉・ツボの3つを考慮しながらカッピングを行う場所を決めます。
この判断基準は鍼灸師によって違いますし、施術の組み立ての中でも変わります。
カッピングだけを行う人もいますし、鍼や灸を併用したり、マッサージを併用するなどいろいろなケースがありますから。
その時の状態や状況に合わせて適宜選択するということで、どれが正しいということはありません。
カッピングによる作用の中で最も有名であり重要なのが血液やリンパ液など体液循環への作用です。
どこにカッピングをすれば効率よく循環に変化を起こせるのか。
そのために筋肉や皮膚の緊張をみたり、冷えや熱、温度や乾湿をみたり、ツボをみながら判断していくわけです。
お一人お一人カッピングを行う場所は違います。
一定の決まった場所はありません。
使用するカップの数も違います。
吸着する圧や時間も違います。
症状によっても違いますし、たとえ同じ人であってもその時によって場所が変わります。
体は日々変化しています。
たとえ自分では感じなくても。
【ご自宅でセルフカッピングを行うなら】
上にはごちゃごちゃと書きましたがそれは私がカッピングを行う時の話です。
自分で首凝りや肩凝りのケアのためにカッピングをするなら、気持ち良いところにやればOKです。
ただし、捻挫など怪我の急性期や炎症が起きている場所には行いません。
軽く足が浮腫んでいるような時は良いのですが、浮腫があまり強いところも避けます。
◉首や肩で凝りを感じる場所
◉カップをつけてみて気持ちの良いところ
この2つが自分でわかりやすいですし、失敗がありません。
よくわからなければ試しにカップを軽くつけてみて、そこが気持ちが良ければ基本的には問題ありません。
あとは、商品の説明書に書いてある取り扱い方や吸着時間を目安にすれば良いです。
時間としてはだいたい数分です。
効果を出そうと欲張って強くつけたり長時間つけるのはやめましょう。
くれぐれも「カップを着けたまま寝てしまった」というようなことがないように!